家族に突発的な事故が起こったらどうなるか。 家族が全員健康で平穏無事であるという前提ですべてが決められているところに、突発的に病気の人間などが出たら対応できなくなるだろう。
そんな余裕はないのに、どうしても子供を私立の学校に入れなくてはならない場合だって出てくるかもしれない。 何か起こるのかわからないのに、すべてがローンで固定されていたら、にっちもさっちもいかなくなるだろう。
家族計画の突発的な変更にも対応しうる柔軟な経済計画、建築計画でなくてはならないということである。 家を買うのも自動車を買うのと同じである。
トラックの必要な人がスピード満点のスポーツカーを買ってもしかたないということである。 当たり前といえば当たり前だが、このあまりに当たり前のことが、いまひどくないがしろにされていると私には思えてならないのだ。
さて、無理のない、将来を見越した、突発的出来事にも対応しうる経済計画を準備したとして、実際どんな建築計画が、成長を見通した住まいづくりでは有効なのか?・増改築がしやすいという点においては、在来工法に圧倒的に良さがある。 ツーバイフォーの増改築も、プレハブの増改築も、まずまっとうな方法では不可能だ。
自動車の”増築”を誰も見たことがないのと同様だ。 工業製品というものは増築はむずかしい。
増改築にはおおまかにいって2つの方法がある。 2階を上げたり、部屋を増やしたりというふうに、ちょうどサトイモの八ッ頭のように増殖していく方法と、はじめから間取りの少ないガランドウのような大空間をつくっておいて、後から間仕切りなどをしていく方法である。
現実的には、だんだん増築していく前者のほうがやりやすいし、コスト的にも安くなる。 在来工法でのもうひとつの良さは、工事中でもそこに住んでいられるということである。

増改築にあたってどこかに避難しなくてはならないということがない。 増改築はいともたやすいように思えるが、増改築の計画というのは慎重に検討に検討を重ねなくてはならない。
安易な増改築は思いもかけぬほどの経費がかかるし、何よりも家全体の安全を損なうようなことにもなりかねない。 いまある住まいを細部までよくよく見直して、何が必要で何が必要でないのかの見きわめから慎重に始めたいものである。
さて、増改築もめんどうだという人には、売れる家を次つぎと買い替えていくというのもひとつの方法ではある。 これは住んだ分の家賃を払っていくのにも似て、一種の借家的発想ともいえる。